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-MOLECULAR CELL MORPHOLOGY-
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理学博士・医学博士
長 舩 哲 齊 (教授)
Dr. Tetsuaki Osafune |
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生命現象を解く分子細胞形態学
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地球表層に棲む生命は顕微鏡でしか見えないミクロの細菌からヒトに至るまで、 約 3000万種以上にのぼるといわれる。
これらの生物は全て生命共通の細胞から成り立っている。 細胞は 35億年前に地球上に誕生した生命の基本単位であり、 ヒトは 60兆個の細胞が積み重なってできた多細胞生物の一員である。
このように生命現象の基本は、 まさに“細胞レベル”にあるといえる。
最近、 細胞は多くの分子生物学者に着目され、 分子レベルで数多くの生命現象が明らかにされてきている。 一方、 生命現象は構造 (フォーム)
があってこそ成り立っており、 分子レベルの遺伝子やタンパク質などの分子は細胞のフォームの内部に配置され、 局在していることが分かる。
すなわち、 生体分子の動態がさまざまな次元のフォームとしてのオルガネラ(細胞内小器官)の存在によって、 初めて機能し、 空間的にも時間的にも調整統合され、
生命現象につながっているのである。 われわれが、 その理解に到達するには細胞のフォームと生理生化学的機能とを結び付けて解析する必要があると思われる。
現在、 生体のフォームの中に分子の配置を探る有効な手段として、 免疫電子顕微鏡法を挙げることができる。 当研究室では、 免疫電子顕微鏡法を応用し、
単細胞真核藻Euglena gracilis Z (ユーグレナ) を用いて、 ミトコンドリアや葉緑体の超微細構造と構築分子の転送や組込について、
分子細胞形態学的な研究を行っている。 |
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ユーグレナの
光学顕微鏡像
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ユーグレナの
走査型電子
顕微鏡像
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ユーグレナの電子顕微鏡超薄切像 |
こちらをクリックして下さい。 |
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■ユーグレナ細胞 |
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単細胞鞭毛藻ユーグレナは和名ミドリムシと呼ばれ、動物学と植物学の両方の分類表に組み入れられている。そのため動物学者は動物、植物学者は植物として研究試料に用いているユニークな細胞である。
ユーグレナの生殖は無性生殖による二分裂で、 減数分裂を行わず遺伝的には極めて安定である。 同調した細胞集団を自然環境条件のもとで容易に得られること、
また細胞のサイズが約50μmで、光学顕微鏡および電子顕微鏡観察にも適しているため、オルガネラの研究に有用である。 なかでも, 葉緑体は栄養環境条件の変化によって、可逆的な退化と再形成を繰り返すため、
葉緑体の形成過程の研究に世界中で用いられている。 |