オリンピックスポーツ文化研究所 お知らせ

お知らせ 2018.03.31 平成29年度研究活動報告

「オリンピックスポーツ文化研究所雑誌No.2」を発刊しました

「オリンピックスポーツ文化研究所」(英文名:Cultural Research of the Olympics)は日本体育大学オリンピックスポーツ文化研究所が、原則として年1回発行する学術誌です。

オリンピックをはじめとしたスポーツ文化に関する研究、各研究プロジェクトの年次報告を毎号掲載しております。ご興味のある方は、下記リンクより御閲覧ください。

島根県浜田市調査概要

プロジェクト
日体大とオリンピックの関わり
研究員
神田俊平 大学院・助教(スポーツ文化・社会科学系)
大河原裕迪 体育学部・助教(スポーツ文化学群)
日程
2018年1月22日(月)~2018年1月23日(火)
調査先
島根県浜田市役所、島根県立体育館、浜田市浜田郷土資料館、浜田市立中央図書館、島根県立浜田高等学校

オリンピックヘルシンキ大会、メルボルン大会、ローマ大会の3大会に体操競技で出場し、メダルを獲得した竹本正男氏とヘルシンキ大会に体操競技で出場し、メダルを獲得した上迫忠夫氏の出身地である島根県浜田市にて、資料収集を行なった。
今回の調査では、竹本氏の五輪及び世界選手権での獲得メダル合計12個、ローマ大会時に使用していたトレーニングウェア、ユフォーム、プロテクター、シューズ、選手団ブレザー、竹本氏と上迫氏に関する記事14紙面、島根県の体操史料、浜田高校体操部の史料を収集することができた。

関根正美教授・オリンピック文化スポーツ研究所長が国立台湾体育大学で講演を行いました。

関根正美教授が国立台湾体育大学からオリンピックスポーツ文化研究所長として招待を受け、講演を行いました。
講演は“The Philosophy of Coaching: What is the Democratic Coaching of Hans Lenk?”と題して、2017年12月2日に中正大学で開かれたAnnual Coference of PE & Sport Academic Societies in Taiwanおよび、12月4日に国立台湾体育大学でのセミナーにて行われました。中正大学での学会講演は主に会員を対象に、国立台湾体育大学での講演は主に研究者を対象に講演を行いました。
講演内容は金メダリストの哲学者ハンス・レンク博士とレンク氏が選手だったときのボートコーチだったカール・アダム氏の「民主的コーチング(トレーニング)」の考えを紹介し、民主的コーチングが議論と対話を通じた選手の思考力育成を可能にした点を指摘したうえで、民主的コーチングの思想が実践を通じてオリンピズムの実現に貢献できる点を強調して締めくくられました。

成瀬郁夫氏よりオリンピック関連の資料を寄贈いただきました。

成瀬郁夫氏は、1962年(昭和37年)に株式会社林屋を設立、1964年の東京オリンピックでは、日本武道館、国立競技場体育館等の武道場の床作りを専門に施行、オリンピックバレーボールの練習会場となった本学の第一体育館をはじめ、現在まで、約2000箇所の体育館及び武道場の床作りを主体に責任施工され、スポーツ振興に貢献されておられます。
平成29年10月20日、1964年東京オリンピックを中心とした年代の239件の貴重な資料を寄贈いただきました。

特別講座「大会スタッフからみたリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック」を開催しました。

日時
2017年10月12日(木) 17:30~18:30
会場
世田谷キャンパス 1201教室
講師
伊藤 和彦 (東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたオリンピック・パラリンピック教育の一環として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、東京2020組織委員会)の医療サービス課長 伊藤 和彦様にご講演いただきました。
伊藤様は現在、東京2020組織委員会の医療サービス課長として、2020年に向けた選手や大会スタッフ等の総合診療所の設置などの医療サービスに関するお仕事に従事されております。

ご講演いただいた内容

東京2020大会について

開催まで3年を切った東京2020大会についてお話をいただきました。
2020年に開催される東京2020大会は第32回で正式には「Games of the XXXII Olympiad(ゲームズ・オブ・サーティセカンド・オリンピアード)」と言い、開催機関は2020年7月24日~8月9日までになります。
パラリンピックの正式名は「Tokyo 2020 Paralympic Games」と言い2020年の8月25日から9月6日までの日程で開催されます。
大会に向けたスケジュールやテストイベントの計画、東京2020組織委員会の組織内容などについて、お話をいただきました。

ご講演の中では、このような動画で東京2020大会の競技会場などについてもお話をいただきました。

リオデジャネイロ2016大会について

2016年にブラジル、リオデジャネイロで行われたオリンピックに伊藤様は、次期開催都市の大会組織委員会の職員としてIOC等の公式会議や、選手村や会場の視察、リオ2016組織委員会からの引き継ぎなどの活動をされていました。

選手への医療サービスについて

伊藤様がお仕事されている医療サービス課では現在2020年に向けた総合診療所の準備に取り組んでいます。
総合診療所設置に当たっては、現在選手村内のメインダイニングに隣接された形での計画を予定しています。
また、医療チームは多岐に別れていて、中には負傷した選手を担架で運ぶ担架隊も配置する予定で、スタッフはボランティアスタッフを予定しているとのことです。
その際、伊藤様のお話では、各競技を経験し、よく理解している学生の皆さんにボランティアとして積極的に参加していただきたいとのお考えでした。

平昌2018大会について

来年に控えた平昌2018大会では競技後との開催する場所や大会期間など概要をお話していただきました。

学生の皆さんに期待すること

最後に学生の皆さんに期待することとして、東京2020大会のボランティアに関するお話がありました。
ボランティアには東京2020組織委員会が募集・採用する大会ボランティアと東京都などの自治体が募集する都市ボランティアの2種類があるとのことです。

  • 大会ボランティア:会場内での案内や競技運営、医療など多岐にわたる。
  • 都市ボランティア:主に観光や交通案内などを行う。会場所在の自治体が募集し、合計で9万人以上のボランティアを2018年夏ごろから募集を開始する予定であるとのことです。

東京2020大会において、日々体育・スポーツに取り組んで日本体育大学の学生の皆さんが積極的にボランティアスタッフとして活躍していただきたいとのメッセージが込められたご講演でした。
伊藤様には、ご多忙の中本学にお越しいただき、貴重なご講演ありがとうございました。

宮城県石巻市インタビュー調査

プロジェクト
オリンピックの危機と再生
研究員
亀山有希 児童スポーツ教育学部・准教授(スポーツ社会学)
日程
2017年9月
調査先
宮城県石巻市

東日本大震災からの復興と東京オリンピック2020-オリンピックレガシーを手がかりに-というテーマのもと、現在、準備が進められている「宮城県石巻市における聖火リレー」に関する資料収集ならびにインタビュー調査(NPO法人石巻市体育協会理事 佐藤昌弘氏)を行った。

NPO法人石巻体育協会 事務局
理事 佐藤昌弘先生

冬季札幌オリンピックの資料収集及び聞き取り調査

プロジェクト
オリンピック教育
研究員
依田充代 体育学部・教授(スポーツ社会学)
後藤彰  スポーツ文化学部・教授(教職教養)
門屋貴久 体育学部・助教(教職教養)
清宮孝文 体育学部・助教(スポーツ社会学)
日程
2017年8月3日(木)~8月5日(土)
調査先
北海道札幌市

札幌オリンピックミュージアム及び札幌中央図書館にて、1972年冬季札幌オリンピックの資料収集及び2026年冬季札幌オリンピック・パラリンピック招致活動における資料収集を行った。

札幌オリンピックミュージアムでは、当時の札幌市民へのオリンピック教育に使用していた「オリンピック英会話1~4集」、「会話とマナー」の資料を収集することができた。

また、札幌中央図書館では、1970年1月から1972年3月の期間で当時のオリンピック教育について書かれた記事22紙面の収集を行うことができた。

オリンピック英会話
会話とマナー

鶴見修治氏インタビュー概要

プロジェクト
日体大とオリンピックの関わり
研究員
波多腰克晃 スポーツ文化学部・准教授(スポーツ哲学)
神田俊平 大学院・助教(スポーツ文化・社会科学系)
大河原裕迪 体育学部・助教(スポーツ文化学群)
日程
2017年7月24日(月)
調査先
岸記念体育館

岸記念体育館にて「日体大とオリンピックの関わり」プロジェクトの下、オリンピックローマ・東京の2大会に体操競技で出場し、メダルを獲得した鶴見修治氏にインタビューをおこなった。

主に、これまでの経歴から競技との出会い、日体大での思い出、ローマ・東京オリンピックでのメダル獲得、その後の人生、後輩に一言についてインタビューをおこなった。

現在とは異なる時代背景や環境下での日本の体操界の状況やオリンピック出場からメダル獲得までの軌跡、そして日体大とオリンピックの関わりを、体操王国日本と呼ばれた黄金時代を築いた立役者の一人である鶴見氏の体操人生を通した実体験から窺うことができた。

鶴見修治氏
当時の新聞記事

ドイツにおけるオリンピック大会参加推進者W.ゲプハルト研究

プロジェクト
オリンピックの経営政策学
研究員
波多腰克晃 スポーツ文化学部・准教授(スポーツ哲学)
日程
2017年3月20日(月)〜3月24日(金)
調査先
ドイツ・ケルン

ドイツ・ケルン体育大学図書館にてW.ゲプハルトに関する調査をおこなった。主に第1回アテネ・オリンピック大会参加にW.ゲプハルトがどのようにかかわったのかを知る手がかりを得るために資料の収集をおこなった。

ドイツではスポーツ功労者として有名なC.ディームを挙げることができる。C.ディーム研究は、これまでドイツ国内外において多くなされてきた。しかし、近年ドイツ研究者の間でも、C.ディームのようにW.ゲプハルトがドイツのスポーツの発展に貢献したにもかかわらず、その重要性が見過ごされてきたという指摘があり、研究が進められている。

W.ゲプハルト研究を進めるにあたって、まずは、W.ゲプハルト研究所発行の『Willibald Gebhart –Pionier der Olympischen Bewegung』を手がかりとして資料の蒐集をおこなった。そこから得られた情報をもとにその他3点の関連する文献を蒐集することができた。

第31回オリンピック競技大会開催地
ブラジル・リオデジャネイロ調査

プロジェクト
オリンピックの経営政策学
研究員
波多腰克晃 スポーツ文化学部・准教授(スポーツ哲学)
日程
2017年3月4日(土)〜3月9日(木)
調査先
ブラジル・リオデジャネイロ

2016年に開催された第31回オリンピック競技大会リオデジャネイロにて調査をおこなった。オリンピック開催後のリオデジャネイロに関する資料が少ないため、まずは現地施設調査をおこなった。競技場は主にマナカラン、バーラ、コパガバーナ、デオドロの4地区において開催された。そのうち、オリンピック・パークやゴルフ場があるバーラ地区の調査をおこなった。

大会後に民間住宅として売却された選手村であったがほとんど売れず、販売が中断された17階建ての高層マンション群を確認した。

大会後の利用が懸念されていたゴルフ場が閉鎖中となっていることを確認し、会場の写真撮影をおこなった。

リオ市内に敷設された路面電車(VLT)
オリンピック・パーク周辺に整備された自転車道
選手村に建設された17階建てのマンション
建設の遅れが指摘されていたテニス場
IBC(国際放送センター)/MPC(メイン・プレス・センター)施設
閉鎖中のゴルフ場 ①
閉鎖中のゴルフ場 ②