COLUMN コラム

女性アスリートのための栄養講座 「トレーニング前後の食べ方」「サプリメントは必要?」「お菓子が食べたい!」女性アスリートの「食」の悩みに答えます

アスリートは、常にコンディショニングを考えながら食事をとる必要があります。それだけに、どうしたらいいか悩むこともありますね。女性アスリートからよく聞かれる「食」にまつわる悩みについて、公認スポーツ栄養士でもある、日本体育大学児童スポーツ教育学部助教の安達瑞保先生に伺いました。

日本体育大学児童スポーツ教育学部助教 安達瑞保先生

共立女子大学大学院家政学研究科食物学専攻修了、修士(家政学)。日本栄養改善学会、日本スポーツ栄養学会、日本体力医学会、アメリカスポーツ医学会等に所属。2015年より日本オリンピック委員会強化スタッフ(卓球)等も務める。アスリートのコンディショニングに不可欠な栄養管理についての講演も行っている。

トレーニング前後の食事は、何を食べるといい?

アスリートとしてトレーニングを重ねる中で、一日3食だけで必要な栄養をとるのはむずかしいことがあります。 その場合には、食事の間に食べる間食を、補食=足りない栄養素を補う食事として活用しましょう。

トレーニング前後に意識してとりたい栄養素は、エネルギー源になる「糖質」や、練習で使った筋肉の回復を図るためのをリカバーする「たんぱく質」です。

練習前の補食としては、には、消化に時間のかかる脂質が少なく、エネルギー源となる「糖質」の多いあんパンやカステラ、バナナ、フルーツゼリー、ようかんなどがおすすめ。

練習後の諸食補食には糖質にプラスして、消耗した筋肉を回復させる「たんぱく質」が多い牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品やゆで卵、サラダチキンなどをとりましょう。糖質とたんぱく質が一緒にとれる具材を組み合わせた、鮭おにぎりや肉まん、コンビニのおでんなどもよいですね。

注意しておきたいのは、補食は単なる楽しみのためのおやつではない、ということです。脂質が多く、体づくりに欠かせないたんぱく質やカルシウムなどのミネラルが補えないスナック菓子などのお菓子では、目的を果たすための補食になりません。

サプリメントは必要?

プロテインなどのサプリメントやプロテインは、アスリートにとって必ずしも必要なものではなく、何らかの理由で、通常の食事から必要な栄養素をとれないときに活用するものです。過剰摂取によってコンディショニングに悪影響になることもあるため、体に異常が起きることもあるので、安易にサプリメントなどに頼らないようにしましょう。

アスリートとして、ドーピング・コントロールの意識を持つことも大切です。サプリメントを製造する過程で、何が入っているかわかりません。アスリートは1度ドーピング検査で陽性と判定されたら、その事実は消えないので、慎重になるべきです。

サプリメントの利用を考える場合としては、体調が悪く普通の食事がとれないときや、海外遠征時、減量しているときなどが挙げられます。

例えば、海外遠征の場合は、あらかじめ現地の食環境についての情報を事前に調べ、準備すべきものを持参する必要があります。食べ慣れていないものはおなかがゆるくなったりすることもあるので、「いつも通りのコンディションで臨めるか」を考えるようにしましょう。

どうしてもお菓子を食べたい……そんなときはどうしたら?

「お菓子を食べちゃダメ」と意識すると、逆に食べたくなってしまったり、ストレスになったりします。食べてはいけない食品はありませんが、いつ食べるのかによって、どのくらいの量にするかを決めるなど、食べ方が大切です。

食べる量としては、減量期でない時であれば、1日のエネルギー摂取量に対して、その10%程度が妥当です。例えば、2000kcalがエネルギー摂取目標量の選手の場合は、食べるべき食事をとったうえで、100~200kcalぐらいなら食べてもよいということになります。

屋外の活動では、紫外線の影響も少なくありません。トレーニングなどで体内の活性酸素が増えるため、抗酸化作用のあるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの多い食品をしっかりとりましょう。

おやつを食事の代わりにしないことも大事です。食事の前にお菓子を食べることで、食事が食べられなくなるのはよくありません。おやつを食べた罪悪感を消したいなら、トレーニング前に食べて、トレーニングで消費するのがおすすめです。

お菓子やジュースなど、楽しみの部分が多くなり過ぎていないかを確認するためにも、毎日、コンディショニングの一環として、朝起きた時に体重を測定し、自分で確認しながら調整していきましょう。可能であれば、同時に体脂肪量も測るのが理想です。

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