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バズーカ岡田先生の女性のための筋トレ講座 男性との違いは?女性アスリートに効果的な筋トレの方法

女性アスリートがよりよいパフォーマンスを発揮するためには、筋力トレーニングは欠かせません。いわゆる「筋トレ」の効果的な方法や男性との違いなどについて、骨格筋評論家で「バズーカ岡田」の異名を持つ日本体育大学体育学部准教授・岡田隆先生に伺いました。
第2回は、「筋トレ」における男女の違いについてフォーカスします。

日本体育大学体育学部教授 岡田隆先生

1980年愛知県生まれ。日本体育大学大学院修了(体育科学修士)、東京大学大学院博士過程単位取得満期退学。理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。現在、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、柔道全日本男子チームの体力強化部門長を務める。ボディビルダー、骨格筋評論家「バズーカ岡田」としても活動している。

公式サイト:http://bazooka-okada.jp/

Youtube:「バズーカ岡田の筋トレラボ」
https://www.youtube.com/channel/UCrV1T0LCGPgGiBspaL2pZHw

女性の筋肉は、男性とどこが違うの?

女性アスリートが筋トレをするにあたって、知っておきたいのは、女性の体と男性の体の違いです。思春期になって第二次性徴が始まると、女性の体は女性ホルモンの影響を受けて、胸がふくらみ、おしりが丸みを帯びるなど、体つきが変化します。女性ホルモンの影響は、骨や筋肉、内臓にも及び、閉経期まで続きます。

女性と男性では、骨格やホルモンの違いによって、元々の筋肉量が違います。女性の筋肉量は、一般的に上半身は男性の50%、下半身は70%といわれています。

「私がトレーニングを指導している方を見ても、やはり男性のほうが、筋肉がつきやすいです。特に違いを感じやすいのは、「肩」と「腕」ですね。
ただ、はっきりした根拠はないですが、トレーニングによってどの程度筋肉が増えたかという『筋肉の成長率』という点で考えると、女性と男性でそれほどの違いはないかもしれません。女性は元々の筋量が少ないため変化量も大きくならないので認識しにくい可能性があります」という岡田先生。

筋肉そのものには、見た目ほどには男女差を意識しなくてもよいのもしれませんね。

女性は筋トレで「筋肉モリモリ」にはならない

女性の体がくびれのある美しいボディラインを描いているのは、女性ホルモンの影響で脂肪がつきやすいからですが、それは体の見え方にも関係してきます。
筋トレをすると筋肉が大きくなります。しかし体の見え方はこの筋肉のサイズ、形だけでは決まりません。筋肉を覆い隠す皮下脂肪の厚みによって、体の見え方は違ってきます。

女性は男性よりも、筋肉の形がはっきり見えるほどに体脂肪を薄くしにくいため、トレーニングを続けても筋肉が目立ってしまう可能性は低いです。

女性の場合、「筋トレをすると、筋肉ムキムキの体になるのではないか」と心配する声があります。同様の不安を感じている女性アスリートも多いでしょう。でも、ホルモンの影響で脂肪がつきやすい女性の場合、その心配はないようです。

「また女性の場合、筋トレをしても男性のように筋肉モリモリに見えるほどの筋量に達することもありません。このように強い凹凸のある筋肉を作りにくく、またそれを覆い隠す皮下脂肪を維持しやすい女性は、トレーニングを続けながら、女性らしいきれいなボディラインを維持することは十分可能です」と岡田先生。

ただし、女性でも「筋肉が付きやすい人」や「皮下脂肪が減りやすい人」は、まれにいます。そういう人は、毎日、体組成計で体脂肪率を測定する、見た目をしっかりと確認するなど、見た目を意識しながらトレーニングをする必要があります。

「理想のボディラインは人それぞれのため、体脂肪が何%なら良いと一概に言える基準はありません。自分の体を確認しながら、体脂肪を残すようにしましょう」

成長期の中高生も、筋トレはするほうがよい

「筋トレをすると背が伸びなくなる」という説を聞いたことがある方もいるでしょう。将来にも関わってくることなので、心配になるかもしれませんが、岡田先生はこれは誤りだと指摘しています。

「全身のトレーニングは、体が成長途中の中学生・高校生も行ったほうがいいですね。ただし、中高生の場合にはむずかしい点もあります」。

筋トレをきちんと行って3カ月もすると筋力が上がり、体がまったく違うものになりますが、その体をうまく使いこなすことができずに一時的にパフォーマンスが落ちたり、力まかせのプレーになってしまって技術力が伸びない、あるいは低下していくことがあるからです。

「中高生の部活だと、卒業するまでの3年間で結果を出さなくてはいけません。それなのに、パフォーマンスが落ちてしまうのはマイナスになります。
それを防ぐためには、筋力の上がった体を使いこなせるように、それまで以上に練習のクォリティーを上げて、技術を高めていかなければなりません」。

成長期の筋力トレーニングについては、本格的に取り組む場合、指導者や専門家のアドバイスを仰ぎながら行うのがよさそうです。

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