CONDITIONING コンディショニングの基礎知識

女性アスリート特有の健康障害 知っておきたい女性アスリートの三主徴

低エネルギー状態が続くことで無月経や骨粗しょうなど深刻な問題が

近年の女性アスリートの活躍は目ざましいものです。オリンピックなどで輝くトップアスリートにあこがれ、あるいは部活動でスポーツの楽しさに目覚め、多くの少女が日々トレーニングを積み重ねています。

それはとてもすてきなことですが、本来は健康的なものであるスポーツによって、健康をむしばまれている若い選手がふえていることも事実なのです。

1997年、世界で始めてアメリカスポーツ医学会が、女性特有の健康障害として「女性アスリートの三主徴」を発表しました。「主徴」とは「症状」のようなものです。

当時は摂食障害・無月経・骨粗しょう症を「三主徴」として警鐘を鳴らしましたが、必ずしも摂食障害でなくても無月経や骨粗しょう症のリスクが高まることがわかってきたため、2007年に①利用可能エネルギー不足、②視床下部性無月経、③骨粗しょう症の三つに再定義されました。

三主徴についての知識は選手本人と指導者にも

三主徴は横並びに存在しているのではなく、相互関係を持ちながら影響し合い、長期間かけて「健康な状態」を「治療が必要な状態」に体を変化させます。

発端にあるのは、利用可能エネルギー不足です。その影響を受ける形で、視床下部性無月経や骨粗しょう症が深刻化していきます。ここまで来ると回復には長い時間がかかり、競技パフォーマンスを低下させるだけでなく、選手生命を失う結果にもなりかねません。

病気やケガの前に、三主徴予備軍のアスリートを見つけ出して改善していくことが急務です。実際、女性アスリート本人やその指導者でさえ、「月経なんてなくていい」と思い込んでいる現実があります。

真に強いアスリートになるためには、健康というパートナーが不可欠です。

出典:「女性アスリートの教科書」(須永美歌子著・主婦の友社)

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