体育スポーツの専門性を備えた医療の担い手となり、
柔道整復師・救急救命士として国民の健康と生命を守る。
目指す人物像
保健医療学部を構成する整復医療学科と救急医療学科の学生が共通して目指すのは、高い倫理観、科学的根拠に基づく思考力、グローバル化に対応できる多様性と国際性を身につけた医療人です。保健医療学部共通科目での学びを通して語学、教養、科学そして体育の基礎を修得した上で各学科の専門性に応じた高度な医学的知識・技術を身につけます。
習得すべきスキル
学部長メッセージ
高度な医療知識・技術を備えた医療人として、グローバル社会に貢献できる人材を育成する
整復医療学科では柔道整復師(国家資格)、救急医療学科では救急救命士(国家資格)として医療貢献すべく、責任ある仕事に就いていきます。
本学保健医療学部では、日本を代表するトップ教授陣により、科学的根拠に基づいて的確な判断ができる能力と高度な医療知識・技術のみならず、人の痛みがわかる思いやりと優しさを兼ね備えた医療人の育成を行ってまいります。
保健医療学部長 中里 浩一
保健医療学部が定める3つの方針
保健医療学部は、本学の「教育目標」に沿った人材を育成するため、独自の教育プログラムを展開する。この課程における、卒業認定と学位授与の要件は、以下の通りである
整復医療学科
整復医療学科では、豊かな人間性と倫理観に満ち、国際的視野を備え、スポーツとスポーツを通じた人々の健康に医療の立場から貢献する人材を育成することが社会から期待されている。このような人材を育成するため、所定の期間在学し、所定の133単位を修得した者に卒業を認定、学位【学士(整復医療学)】を授与する。
具体的な知識・技能及び応用力等は、次の通りである。
〈資質・能力〉
- 知識・理解
■ 我が国の伝統医療である柔道整復術に関する知識と技術を有し、適切に実践できる。
■ 基礎医学と臨床医学に関する高度の知識を有し、科学的思考を身につけている。
■ スポーツに関する幅広い知識を有し、スポーツによる身体への影響を理解できる。
- 分野固有の能力
■ 柔道整復師の業務を理解し、柔道整復術の適応と禁忌を判断して施術の客観的評価ができる。
■ 運動器外傷に対し、適切な応急手当から社会・競技復帰までの治療ができる。
■ スポーツ選手の外傷・障害に応じた適切な指導と管理ができる。
- 汎用的能力
■ 医療人として高い倫理観に基づき、主体的な判断ができる。
■ 優れたコミュニケーション能力や協調性を有し、思いやりに満ちた行動ができる。
- 態度・姿勢
■ 柔道整復術を実践し、国民の健康維持と増進の一翼を担うという自覚を持っている。
■ スポーツとスポーツを通じた人々の健康に医療の立場から貢献するという強い意志を持っている。
■ 生涯にわたり自ら学び続ける習慣を身につけている。
■ 国際交流の重要性を理解し、柔道整復師としてスポーツに関わりグローバルに活躍する国際性を身につけている。
救急医療学科
救急医療学科では、所定の期間在学し、次のような知識・能力等を身につけ、所定の単位を修得した者に卒業を認定するとともに、学位【学士(救急医療学)】を授与する。
- 救急・災害医療に関する医学的・法的知識を有し、医療人として必要な倫理観を備えている。
- 臨床現場において、科学的根拠に基づいて思考し、必要な医療技術が実践できる。
- 現代社会におけるグローバル化に対応できる多様性を備え、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力を有している。
カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
保健医療学部は、「卒業認定・学位授与の方針」に則って、次の通り、「教育課程編成・実施の方針」を定める。
整復医療学科
整復医療学科では、ディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、「学部共通科目」と「専門教育科目」を体系的に編成し、講義・演習・実習等を適切に組み合わせて授業を展開する。教育課程については、コースツリーにより体系的に明示する。
教育内容、教育方法、学習成果の評価、について以下の通りとする。
- 教育内容
学部共通科目については、「言語コミュニケーション科目」「教養科目」「総合科目」「数理・情報系」「生物学系」「体育学系」の6つの科目群に区分する。専門教育科目については、「スポーツ科学」「人間の構造と機能」「疾病と傷害」「柔道整復術の適応」「柔道整復の理念と保健医療福祉」「社会保障制度」「基礎柔道整復学」「臨床柔道整復学」「柔道整復実技」「臨床実習」「総合」の11の科目群に区分する。
- 教育方法
■ 講義:知識のインプット、アウトプットを繰り返して知識の定着と理解を深める。また、適宜グループディスカッションを行い、人の意見や解釈に多様性があることを理解する。
■ 実習:参加型実習を重視している。倫理観、協調性、自己の役割と責任を認識し、主体的に考え、行動できるよう促す。さらに、プレゼンテーションの場を適宜設定し、知識の整理と人に伝える力の養成を重視する。
■ 演習:知識の定着と技術の正確性を高めるため、反復して学習することを重視する。
■ eラーニング:予習・復習を可能にし、学生個々人の主体的で活発な勉学意欲の促進を図る。
■ 課外活動:特別解剖見学実習やインターンシップを学科独自で制度化して実施し、低学年で学んだ内容の復習の機会や将来像の創造のための自発的行動を促進する。
■ 柔道整復師国家試験対策:柔道整復師国家試験対策プロジェクトを立ち上げ、1年次から習熟度確認のための模擬試験を実施し、4年次においては課外活動として対策授業を実施する。さらに、モバイルラーニングにより、いつでもどこでも学べる環境を提供する。
- 学習成果の評価
成績評価は、各科目の「授業科目のねらい・到達目標」に対する到達度を目安として採点する。成績評価の公正さと透明性を確保するため、シラバスに掲げた身につく能力(コミュニケーション能力、問題解決力、組織的行動能力、自己実現力、知識獲得力、実技能力、英会話能力)に応じて、筆記試験、プレゼンテーション、レポート、参加態度など適切な評価を組み合わせ、その配点比率を予め明示する。また、成績評価の客観性を維持するため、成績評価の終了後に試験問題やレポート課題の出題意図・講評などを学生へ告知し、成績分布を公表する。
救急医療学科
- 大規模災害に対応できる人材を育成するために、災害ボランティアや防災訓練に参加する等現場経験を重視した演習や実習科目を配する。
- 海外で活躍できる人材を育成するため、国際的な救急システムに関する科目を配する。
- 医療人として必要な倫理観を身に着けるために、早期の臨床現場見学、病院内実習、救急車同乗実習等、救急医療の現場(実践)を意識した科目を重視する。
- 専門知識と医療技術を実践する能力を修得するための救急医学総論及び各論、シミュレーション実習等については、特にOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)の評価を重視する。
保健医療学部では、その「卒業認定・学位授与の方針」及び「教育課程編成・実施の方針」に沿って、入学試験を実施する。
求める人材像
- 国語、英語等で学んだことを基盤とした言語能力及びコミュニケーション能力を有している。
- 地理歴史、公民等を通じた地球規模で現代社会を読み解く力を有している。
- 数学、理科等で学んだ思考力に基づき、体育・身体活動・スポーツを客観的に分析する力を有している。
- 保健体育、芸術等で研いた感性と創造力から、人間の心身の可能性(スポーツ・芸術・文化)について探究する力を有している。
- 種々の課外活動を通じて身につけたチームワークや実践力を有している。
入学者選抜の種類
入学者選抜にあたっては、上掲の高等学校等において修得すべき、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性、などを備えているか否かを評価するため、「総合型選抜」、「学校推薦型選抜」、「一般選抜」、「特別選抜」(帰国生・国際バカロレア(IB)資格・英語外部資格入試・リカレント)、など多様な選抜区分を設ける。
保健医療学部の特長
整復医療学科
骨折や脱臼、捻挫や肉ばなれなど日常生活やスポーツで発生する怪我を治療するスペシャリストを育成
怪我の応急手当からリハビリテーションまでを専門とする柔道整復師(医療国家資格)の取得、さらに競技復帰や再発防止をもサポートできるトレーナーとなるための知識と技術の修得を目標とします。日本体育大学の特徴を生かし最先端のトレーニング科学やスポーツ科学も学びます。こうした柔道整復学とスポーツ関連科学を学ぶことにより、「スポーツやトレーニングを熟知した柔道整復師」や「怪我の治療ができるトレーナー」の養成を目指します。
臨床実習
日体大のアスリートを中心とした多くの患者さんが来院する横浜・健志台キャンパス内に設置された「日本体育大学スポーツキュアセンター」で臨床実習を行います。また、スポーツ現場での臨床実習も実施します。
野外活動実習
1年生の7月に高原で野外活動実習を行います。実習では酸素の薄い高地でジョギングなどの運動を行って高所トレーニングを体験するとともに、運動中の動脈酸素飽和度などの生理的指標を測定・分析することでトレーニングの理論を学びます。
海外整復医療総合実習
柔道整復の技術を活かし、世界で活躍することを目指すためには欠かせない実習です。アメリカ現地で、各種プロ競技やトレーニング施設で活躍するメディカルスタッフやスポーツ指導者等から最新のトレーナー事情や実技を学び、プロ競技の試合観戦とその舞台裏も見学します。
資格取得について
整復医療学科では以下の資格等が取得可能です。
- 柔道整復師(国家試験受験資格)
- 日本スポーツ協会共通科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ受講・試験免除
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(受験資格※)
- 日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者(受験資格)
- 社会福祉主事(任用)
※1年次に32単位以上を修得した当該資格取得希望のうち、成績(GPA)により受講者数の制限を行います。
(GPAとはGrade Point Averageの略で、成績評価制度のことです)
救急医療学科
将来、プレホスピタルケアにおいて、指導的立場の救急救命士になって活躍する。
専門教育を生かす充実した教養科目と高名な指導者からの真の専門教育の実践。
“充実した教育力”を誇る救急医療学科。
救急医療学科では、長年日本の救急医療を牽引している指導医、専門医、指導救命士から直接教育指導が受けられます。崇高な精神を学ぶ人体解剖学実習の実施、実際の救急現場活動を体感できる少人数によるシミュレーション実習、日本全国での救急車同乗実習や多施設における救急指定·臨床指定病院、救命救急センターで充実した実習を実施します。他を凌駕する“人間力を育成” する多彩なイベントを豊富に用意しています。
救急医療学科の3本柱
1.救急医療
【実践的なシミュレーション実習】
豊富な臨床経験と教育にたける救急医療の専門家から、すべて感染症対策を学んで行われる実際の救急現場を完全想定したシミュレーション実習。
【世界初! 先進的ハイブリッド実習】
世界で最初に現実の救急現場をVR(Virtual Reality)教材で作成。非対面講義でも実習の質を維持している。先進的な実習を展開。
2.蘇生医療
【世界最高の救急医療を学べる貴重な実習】
米国シアトル市で救急現場の第一線で活躍するワシントン大学HARBORVIEW MEDICAL CENTERMedicOneのParamedicを毎年招いて、最先端の蘇生医療の知識と技術指導が受けられます。
【Challenge! 救命蘇生研究会】
毎年消防と医療機関、保護者、卒業生を招いて日体onefamilyになり救急医、救急救命士、学生からの学術·研究発表を実施。自ら体験したイベント内容を1年生から発表しています。知識の修得だけでなく、コミュニケーション能力の向上につながっています。
3.災害医療
【災害医学の専門家による講義】
「災害医学」の講義では、国内外で活躍してきた著名な専門家からの講義を受けることができます。
【資格取得! 防災減災対策演習】
日本防災士機構の定めるカリキュラムに則り、「自助」「共助」「協働」を原則とした、防災士の資格取得を目指します。防災士資格取得者:2019年度34名 2020年度40名。
それぞれ世界の情勢をふまえて指導できる救急救命士の育成
一人でも多くの「失われずにすむ命」を救い、「その家族の生活」を守りたい。
人命救助によって得られた決して絶えることのない“誇らしい満足感” が待っている。
救急医療学科 学科長 小川理郎 教授
授業Pick up
医学・医療に関連する英語力を養う
医療現場で使用される英語の意味や定義、その背景にある医学情報や医学・医療知識の基礎について、英語テキストの読解を通して学修します。一見難しそうな医療英単語ですが、そのほとんどは複数の語が結合してできており、語源がわかれば大きなヒントになります。
医学の理解に必要とされる生物学の基礎を学修
健康とは何か、医療の本質、医学・医療は誰のものか、医の倫理、生命倫理、患者の人権、死生観、医療従事者に求められるもの、日本の医療システム、ヘルスプロモーション、医療事故と医療裁判、医療と科学技術等、医療に関わる様々な現代的課題から医療の本質を学びます。
次世代医療において細胞生物学の理解は必須
細胞を基盤とした再生医療が次世代医療の中核とされている現代、細胞生物学の理解は医療従事者には必須です。本学修ではまず細胞と遺伝情報の関わりなどを概観、次に細胞分裂など多細胞系の理解を、最終的には細胞を基礎とした個体の生理学的理解の学修を目指します。