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指導者向けQ&A

生理中の腹痛など痛みがひどい選手に対して、休ませるべきなのか、無理して練習を続けるように指導したほうがよいのか迷います。判断する基準はありますか?

生理中の腹痛など痛みがひどい選手に対して、休ませるべきなのか、無理して練習を続けるように指導したほうがよいのか迷います。判断する基準はありますか?

まず「無理して練習を(強制的に)続けさせる」という選択肢はありません。熱が出ている選手や骨折している選手に走らせるのと同じで、ハラスメントです。傍目にもパフォーマンスが落ちていたり、辛そうであったりするにも関わらず、本人が「なんとかやれるから練習をしたい」と言ってきた場合が悩むところです。チーム戦術練習などでは、本人のパフォーマンスが低くても参加する意義があるでしょうから、一概に練習参加を否定はできません。

一方、個人競技の多くにおいては、思い切って休ませる、あるいは練習をさせるにしても、量を加減する、タイムやパフォーマンスを割引いて評価する、などの配慮が望まれます。そもそも毎回月経時の症状がひどい選手に対しては、低用量ピルの内服、適切な鎮痛薬の内服などの医学的介入が必要ですので、婦人科医に相談するよう、促して下さい

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『月経周期に伴うコンディションの変化』

パフォーマンス向上のために減量させたい選手がいます。女性アスリートの場合、特に気をつけるポイントはありますか?

パフォーマンス向上のために減量させたい選手がいます。女性アスリートの場合、特に気をつけるポイントはありますか?

女性の場合、月経周期により心身のコンディションに影響を及ぼすことがあります。特に、月経前の「黄体期」には体水分が体内に貯留し、体重が増加しやすいことが報告されています。
そのため、一過性の体重の増減に目を向けるのではなく、まずは月経周期を把握するとともに(起床直後の基礎体温の計測と月経から月経までの日数の把握)、毎朝排尿後に体組成(体重および体脂肪率)を計測することによって、選手自身のコンディションの変動を把握することが大切です。

また、極端な減量は、女性ホルモンのバランスを崩したり分泌が低下することにより、月経が不規則となったり無月経を引き起こすことがあります 1)。指導者、選手ともに「パフォーマンス向上」が目的であり「体重の減少」がゴールでないことを確認し、重要な試合などに向けて中・長期的な計画を立てましょう。
食事面では、日常の食生活を見直すことで、食事の量や質、タイミングなど改善すべきポイントを挙げ、実行するよう指導しましょう。

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『月経周期とウェイトコントロール』
●参考文献
1)
Nattiv A et al., Med Sci Sports Exerc.2007;39(10):1867-82.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=17909417 別ウィンドウで開きます

禁止している菓子類を、隠れて食べているようです。食事指導のコツはありますか?

禁止している菓子類を、隠れて食べているようです。食事指導のコツはありますか?

菓子類は糖質や脂肪が多く、少量でもカロリー摂取が多くなります。その反面、ビタミンやミネラルなどの栄養素は少ないものがほとんどです。食事で十分な量が摂取できないときや練習前の空腹時などには、補食として間食を摂取するように指導することも一つの方法です。

チョコレートやスナック系のお菓子よりもおにぎりやサンドイッチにフルーツヨーグルトや野菜ジュースなどを組み合わせることで、菓子類と同程度のカロリーで運動時のエネルギーとなる糖質が摂取でき、たんぱく質やビタミン類も補給できることなどを提案してみてはいかがでしょうか。

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