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生理が来る日を早めに知るための方法はありますか?

生理が来る日を早めに知るための方法はありますか?

まず、自分の月経周期を知ることが必要です生理が来た日を記録しておきましょう。正常月経であれば、25~38日に1回生理が来ます。また、前回の周期日数の差が6日以内となります。

さらに詳しく月経周期を知るためには、基礎体温を測定する方法もあります。基礎体温を計測、記録することで、今の自分が月経周期のどの時期なのかがわかります。生理が来る前日~当日に低温になり、低温から高温に移る付近に排卵が起こります。月経周期による心身の変化に対応するためにも、ぜひ基礎体温を測定してみましょう。

月経周期によって体重が変動するのはなぜ?

月経周期によって体重が変動するのはなぜ?

一般的には、生理前(黄体期)に体重が増加し、生理が始まって2日くらい経つと体重が落ちてくるという変動がみられます 1)。この月経周期に伴う体重変動の要因としては、体水分量の変化が関係していると考えられています 2)。黄体期には女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌が増加しますが、これらのホルモンには体水分量の調節をするホルモン(レニン)の活性を高め、体内の水分貯留を促進させる作用があります 3, 4)。つまり、生理前の体重増加は、脂肪ではなく体水分量の増加と考えられます。その証拠に生理が始まり、女性ホルモン濃度の低下に伴って、体重も減少します。

しかし、このような月経周期に伴う体重の増減は、個人差が大きく、すべての女性に同じように現れるわけではありません。ぜひ一度、自分はどの時期にどれくらい変化するのかを月経周期と体重の記録を併せて確認してみてください。もちろん、体重の変化は食事量や運動量の影響もありますが、2-3か月記録をしたときに、約1か月の周期的な増減(特に生理前の増加および生理後の減少)が見られれば、それは月経周期の影響によるもの(=水分貯留)と考えられます。階級別の種目など、ウェイトコントロールが必要な競技の場合には、月経周期に伴う体重の変化を知ることは重要になりますのでぜひ観察してみましょう。

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『月経周期とウェイトコントロール』
●参考文献
1)
Watson PE et al., Br J Nutr, 1965; 19: 237-248
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14290862 別ウィンドウで開きます
2)
White CP et al., Obstet Gynecol Int. 2011; 2011:138451
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=White+CP+et+al.%2C+Obstet+Gynecol+Int.+2011%3B+2011%3A138451 別ウィンドウで開きます
3)
Stachenfeld NS, et al., J Appl Physiol. 2004; 96(3):1011-8
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Stachenfeld+NS%2C+et+al.%2C+J+Appl+Physiol.+2004%3B+96(3)%3A1011-8 別ウィンドウで開きます
4)
Stachenfeld NS, et al., Exerc Sport Sci Rev. 2008; 36(3):152-9
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Stachenfeld+NS%2C+et+al.%2C+Exerc+Sport+Sci+Rev.+2008%3B+36(3)%3A152-9 別ウィンドウで開きます

生理がしばらくきていません。何ヶ月生理が来なければ、産婦人科に行くべきでしょうか?

生理がしばらくきていません。何ヶ月生理が来なければ、産婦人科に行くべきでしょうか?

日本産科婦人科学会では、「これまであった月経が3ヶ月以上停止している状態」を続発性無月経と定義しています。無月経は、女性アスリートに多くみられる健康問題の1つであり、決して珍しくありません。

無月経の原因の1つとして、「エネルギー不足」が挙げられています。つまり、運動量に見合った食事が摂取できていない場合や極端なダイエット、減量等によって脳からのホルモン分泌が低下してしまい、月経が止まると考えられています。女性アスリートにおいて無月経は、「身体がエネルギー不足の状態である」サインと考えましょう。

また、無月経によって長期間、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストラジオール)が低下してしまうと、骨密度が低下してしまい、疲労骨折を起こしやすくなることが分かっています。無月経の期間が長ければ長いほど、治療に時間がかかるケースが多いですので、3ヶ月以上月経が止まっている場合は、産婦人科を受診するようにしましょう。

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『女性アスリート特有の健康障害 ~女性アスリートの三主徴~』

生理痛がひどくて困っています。病院に行こうと思っているのですが産婦人科を受診するのが恥ずかしいです。最初にどのような検査をしますか?

生理痛がひどくて困っています。病院に行こうと思っているのですが産婦人科を受診するのが恥ずかしいです。最初にどのような検査をしますか?

産婦人科受診に抵抗を示す女性は、アスリートに限らず多い現状にあります。その原因の1つとして、どんな検査を行うか想像できないことが挙げられると思います。生理痛がひどくて婦人科を受診した際、一般的には下記の流れで診察を行います。
診察の流れ
*異常が見られた場合、MRI検査や採血等を追加で行う場合があります。

超音波検査は、性交為の経験がある場合は、腟から超音波の器械を挿入(経腟超音波)し、子宮・卵巣に異常がないかを確認します。性交為の経験がない女性では、お腹の上から超音波の器械をあてて検査を行ったり(経腹超音波)、肛門から超音波の器械を入れて(経直腸検査)検査を行います。経腹超音波と比較し、経腟超音波や経直腸超音波のほうが、よりきれいに子宮や卵巣を描出できるケースが多いですが、どの検査を選択するかは患者さん自身に決めてもらいます。
検査時の痛みが心配かと思いますが、多少の違和感がある程度で激痛等はありません。また、超音波検査自体に抵抗がある場合は、医師と相談してMRIで子宮・卵巣に異常がないか確認することも可能です。

検査を行う前は、医師から事前に説明がありますが、不安な点は医師に確認するようにしましょう。

ピルを服用すると、副作用はありますか?ドーピングも心配です。

ピルを服用すると、副作用はありますか?ドーピングも心配です。

通常処方される「低用量」ピルを初めて内服したときには、「気持ち悪い」「だるい」という副作用が半分程度の女性に出現しますが、ほとんどが通常1週間程度で気にならなくなると言います。むくみ、食欲増加、(結果として)体重増加といった副作用を訴える選手も時々いますが、これも1ヶ月程度のうちに落ち着く場合がほとんどです。

頻度は少ないものの重要な副作用は血栓症です。年間1万人あたり3〜9人という頻度ですが、死亡率ははるかに低く、10万人に1人以下とされています。アスリートの場合は、発汗による脱水、長時間の飛行機移動などが血栓症の誘発要因と懸念されますが、血栓症のリスク因子である肥満者・喫煙者・40歳以上の者が少ないこともあり、必ずしも一般人よりリスクが高いとは言えないでしょう。ただしピルを飲み始めて、息苦しさ、視野障害、けいれん、ふくらはぎの痛みなどの症状が出現した場合には、血栓症の初期症状の可能性がありますので、服用を中止しなければなりません。
なお、日本で処方される低用量ピルの全てがドーピングコントロールにおいて問題となることはありませんので、ご心配なく。

月経前症候群の症状を改善するために、食生活で気をつけるポイントはありますか?

月経前症候群の症状を改善するために、食生活で気をつけるポイントはありますか?

残念ながら食べ物は薬のように即効的に症状を改善することはできません。月経前症候群の症状の改善には、生活習慣の改善が第一のステップです。月経中のみならず、日常の食事の質や量、回数、また睡眠時間などを見直してみましょう。

また、月経前症候群の改善に効果があるとされる栄養素に「カルシウム」があります。カルシウムは日本人の摂取不足が指摘されている栄養素でもあるので、カルシウムの豊富な乳製品や魚介類、大豆製品、海藻類を積極的にとるようにしましょう。また、カルシウムは体内への吸収率が低い栄養素なので、こまめに摂取することもポイントです。
果物に豊富なビタミンCやクエン酸と一緒に摂取すると吸収率がアップするので、フルーツヨーグルトなどをとり入れると良いですね。 もし、毎回症状が重い場合は、婦人科を受診することをお勧めします。

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『月経周期に伴うコンディションの変化』

生理前、無性に甘い物が食べたくなります。減量中なので辛いです。

生理前、無性に甘い物が食べたくなります。減量中なので辛いです。

個人差はありますが、一般的に生理前の「黄体期」に食欲が増加するとされています。

好きな音楽や映画で気分転換を図ったり楽しいことをして過ごすなど、食べること以外でストレスマネジメントができると良いですね。
どうしても甘いものを食べたい気持ちが抑えられないときは、砂糖やブドウ糖、果糖などのカロリーの高い成分が少ないキシリトール(甘味料)が主成分のガムを噛むと、摂取カロリーを低く抑えながらも甘味を味わえ、「噛む」ことでストレスも分散されます。
また、ホットミルクを飲むと、満足感とリラックス効果が得られます。

●さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
 動画『月経周期とウェイトコントロール』
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