保健医療学専攻1920×700

保健医療学専攻

保健医療に対する社会からのニーズに対応できる高い専門知識と優れた技術、豊かな人間性と高い倫理観を備えた人材を育成する
2020年4月1日付で大学院保健医療学研究科長を拝命した横田裕行です。この度、前任の日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野、同附属病院高度救命救急センターから異動してまいりました。ご挨拶を兼ねまして保健医療学を学ぶ上での大学院の必要性と特徴をお話ししたいと思います。
本学の建学の精神である"體育富強之基(たいいくふきょうのもとい)"の意味するところは、心身ともに健康で全ての人々の願いである心身の健康を育み、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献するために、健康を維持するための知識・技術・倫理を探求と実践をする姿勢です。
超高齢社会となった本邦において医療に対する社会からの要望は複雑化、多様化しています。特に、需要が増加の一途をたどる救急医療においてはその傾向は著しいものがあります。大学院保健医療学研究科ではこれらの問題を豊かな人間性と高い倫理観を背景に、幅広い知識と高度な技術を有する人材、研究者を養成したいと思っています。また近年様々な分野に導入が急速に進んでいるAI技術を取り入れ、先進的な研究を展開して参ります。
保健医療学の研究対象は人間であることから、医療倫理の4原則(自律、正義、無危害、善行)に則って、大学院生としての基本的な知識と技術を身に着けて頂きます。これらを背景に研究者として、指導者としての資質を涵養するための場を提供します。
保健医療学研究科長 横田 裕行保健医療学研究科長 横田 裕行
従来の修士課程に加えて、この度博士課程の認可を受け、より専門的で高度な研究活動を行う土台が構築されました。指導する教員は保健医療分野に関する極めて広い知識と技術を有し、文部科学省や厚生労働省をはじめ、様々な競争的資金を獲得している国際的にも評価されている本邦でも屈指の研究者です。本大学院生は将来の保健医療、病院前救急医療を牽引していく人材になるべく教育体制を提供していきます。
社会が国際化し、保健医療の分野でも国際的な視野が求められています。本大学院の教員は海外留学の経験や広い国際性を備え、大学院生にも国際交流を促し、その支援を積極的に行います。
本大学院はこのような社会のニーズと信頼に応えるべく、質の高い研究者および指導者を育成してゆきたいと考えています。

概要

専攻の目的

整復医療の教育・研究、救急処置と災害医療の研究・教育できる人材を育成

現代医学に精通し、施術所での問題解決能力や安全管理能力、コミュニケーション能力に優れ、科学的根拠に基づく高度の臨床技量を有する臨床現場の指導者や柔道整復の教育者・研究者と、高度な医学知識に基づく臨床能力を有し、病院前救急救命処置と災害医療分野の研究・教育を実践できる人材を育成することを目的とする。
修士課程
修業年限 2年
入学定員 8名
学位 高度実践柔道整復師コース:修士(柔道整復学)
救急災害医療学コース:修士(救急災害医療学)
修了・卒業要件 30単位以上

研究科の設置および必要性

保健医療学研究科を設置する理由

本学は一貫してスポーツを通してすべての人々の願いである「心身の健康」を育み、かつ世界レベルの優秀な競技者・指導者を育成することを追究し続けてきました。そして2014年には「保健医療学部」を開設し、保健医療の立場からも生命と健康に係わる取り組みを開始しました。
保健医療学部の教育理念は「深く保健、医療、福祉に関する専門的な学問の教授・研究、及び職業と社会生活に必要な教育を施し、高い倫理観に基づく人間形成を重んじ、国民の保健衛生に寄与する」ことです。この理念と本学のこれまでの実績を踏まえ、保健・医療・福祉を包括する専門学部を創設し、高度な専門知識・技術と豊かな人間性、高い倫理観を備えた質の高い医療人を育成することは高齢社会のニーズに合致しています。以上のことから、保健医療学部を基礎とする「保健医療学研究科修士課程」を設置します。

コース

高度実践柔道整復師コース

「高度実践柔道整復師コース」では「高度の臨床技量(柔道整復術)を有する臨床現場の指導者」および「柔道整復師養成施設(大学)等の教員(柔道整復の教育者・研究者)」を養成します。そのため、入学者は柔道整復師の有資格者(取得見込みを含む)でなければなりません。
柔道整復師は国民の健康維持と増進の一翼を担っているという自覚と品格を持ち、適切な医学知識とその臨床応用能力、臨床的技量(柔道整復術)を身に付けなければなりません。「高度実践柔道整復師コース」のまなびは、専門知識の獲得や臨床技量の向上のみにとどまりません。医学教育の概念を導入した柔道整復教育学特論演習により臨床現場の指導理論を学び、接骨院としては屈指のアスリート来院数を誇る附属臨床実習施設(スポーツキュアセンター)での正統的周辺参加による臨床実習や整復医療学科の臨床実習のティーチングアシスタント等を通じ、臨床現場の指導者としての実践力を身につけます。また、スポーツキュアセンターに備えられた検査・評価機器を用いて柔道整復術の効果について検討し、研究成果を臨床現場に還元・応用できる能力を身に付けます。
修了後は地域の柔道整復師を統括する指導的立場として、スポーツ現場で科学的根拠に基づく柔道整復術の実践者として、あるいは柔道整復師養成施設における教員や研究者として、これらのように医療の実践者にとどまらず、日体大の伝統である「教育・指導のスペシャリスト」として活躍することが期待されます。
高度実践柔道整復師コース

高度実践柔道整復師とは

研究者としての資質 整復医療分野とその関連領域の高度の専門知識を有し、問題を解決するための研究手法を理解できる。
臨床家としてのプロフェッショナリズム 国民の健康維持と増進の一翼を担っているという自覚と品格、倫理観を持ち、臨床現場において科学的根拠に基づく治療法を実践できる。
科学的根拠に基づく柔道整復術 骨・筋・関節などいわゆる運動器外傷に対する高度の医学知識とその臨床応用能力、臨床的技量(柔道整復術)を持つ。
臨床現場での指導力 研究成果を臨床現場に還元・応用でき、臨床現場の指導者としての資質を持つ。

救急災害医療学コース

「救急災害医療学コース」は研究・臨床・教育を通じて科学的根拠に基づき指導ができる人材を育成します。
研究 最新の知識と臨床や教育経験から生じた問題点から、解決策を検討し実証するプロセスを修得します。ファーストレスポンダーと救急救命士の連携などの救急システム、救急救命士による救急救命処置、災害医療体制など特論や演習を通して得た知識や経験から課題や問題が生じ、それに対する解決策を科学的根拠に基づき証明する能力が求められます。臨床現場や教育現場で指導的立場になるには、この能力が非常に重要です。
臨床 学部学科の実習先である1次2次救急病院や救命救急センター、消防機関などで演習し臨床経験を積みます。また、災害発生時には市区町村や災害医療派遣チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)や、医師会と連携し災害医療の実践やロジスティクス(後方支援)業務を行います。
教育 特論で得た最新の知識を学部学科のシミュレーション実習などでティーチングアシスタントをすることで救急救命士教育を学びます。また、救急蘇生法の講習会やマラソン大会などのイベント救護でスポーツ関係者、地域住民に救急・災害医療の講習会を行い実践または補助します。
救急災害医療学コース

指導的立場の救急救命士とは

研究者としての資質 救急・災害医療分野とその関連領域の高度の専門知識を有し、問題を解決するための研究手法を理解できる。
プロフェッショナル・オートノミーの確立 社会の変化に対応し、救急救命士として生涯学び続ける医療人としての倫理観を習得する。
救急・災害医療システムの構築 科学的根拠に基づき、救急・災害医療体制を検証するために、高度な専門知識と臨床能力を持つ。
臨床・教育現場での指導力 研究成果や多様な救急現場の経験を、所属する臨床現場に還元・応用でき、臨床現場の指導者としての資質を持つ。

カリキュラム

科目区分 授業科目の名称
共通科目
  • 保健医療学研究法特論
  • 解剖学特論
  • スポーツ生理学特論
  • 医療英語特論
  • 医療統計学特論
  • スポーツ救急特論
専門科目 高度実践柔道整復師コース
  • 運動器外傷学特論
  • 運動器外傷学演習
  • 運動器スポーツ医学特論演習
  • 整復医療実践治療学特論
  • 整復医療実践治療学演習
  • 柔道整復教育学特論演習
救急災害医療学コース
  • 救急蘇生医学特論
  • 救急蘇生医学演習
  • 救急災害医学特論
  • 救急災害医学演習
  • 特殊災害医療特論演習
特別研究
  • 保健医療学特別演習Ⅰ
  • 保健医療学特別演習Ⅱ
  • 保健医療学特別研究Ⅰ
  • 保健医療学特別研究Ⅱ

学位論文評価基準

保健医療学研究科保健医療学専攻が定める3つの方針

ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)
カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)