体育研究所

体育研究所
Home > コラム:コロナ禍における研究活動ー外出制限の影響とオンライントレーニングの効果ー

コロナ禍における研究活動ー外出制限の影響とオンライントレーニングの効果ー

 開幕前に様々な問題が露呈した東京オリンピック・パラリンピックですが、無事開幕を迎え各競技で熱戦が繰り広げられています。本来であれば、2020年に開催される予定でしたが、世界中を襲った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより開催が1年延期されたことは周知の事実です。このパンデミックは言うまでもなく、東京オリ・パラ以外の様々なイベントや社会経済活動に影響を与えています。当然のことながら、研究活動においても大学を始めとする多くの研究機関が研究活動を中止や延期する事態に陥り、例に漏れず、本学も予定していたイベントや研究活動が中止や延期になりました。

 プロジェクト研究3は「中高齢者の健康寿命延伸」をテーマに研究を進めています。そのメンバーは岡本の他、横山順一教授、菊池直樹准教授、大田崇央助教(2021年度より)の4名であり、運動生理学、社会福祉学、トレーニング科学、運動疫学を専門としています。本プロジェクト研究はこのメンバーのそれぞれの専門分野を融合させて着実に研究を進展させてまいりましたが、2020年度は多くの研究計画が白紙に戻り、大学の協力を得ながら実施している“体力測定”も中止せざる終えない状況でした。しかし、その中でも出来る事を模索し、まずは、体力測定参加者に対する身体活動量やメンタルヘルス調査を実施しました。本調査において、回答者の23.3%に「うつ」や「不安障害」が認められ、また、心理ストレスのある群では、世界保健機関(WHO)が推奨する身体活動基準(1週間あたり中強度以上の身体運動を150分以上実施)を下回りました。このように、コロナ禍の外出制限は心理的ストレスを高め、身体活動量を低下させることがわかりました。したがって、在宅において運動実施を行うことを目的として、Zoomなどのビデオコミュニケーションツールを用いた遠隔運動指導などを実施しました。在宅での運動という事もあり、自体重や軽重量のダンベルなどを用いた低強度の運動でしたが、筋力や筋量を増強させる効果や血圧を低下させる効果が認められました。両研究の成果の詳細は体育研究所雑誌に報告するとともに、国際学術雑誌への投稿も行っています。

 2021年度になり、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種も進んできているとは言え、未だ先が見えない状況が続いています。研究活動に関しては感染予防を徹底してある程度は行えるようになってきました。本プロジェクトも次の展開として、本学卒業生を対象とした研究をスタートしてまいります。卒業生研究として最も有名な研究は“ハーバード研究(Harvard Alumni Health Study)”です。われわれが進める卒業生研究はハーバード研究とは似て非なりの研究を目指すことはもちろんですが、この卒業生研究が“日体大研究((仮称):Nittai Alumni Health Study)”として世界的に認知される研究になるよう努めてまいります。

このページの上部へ

交通アクセスサイトポリシー個人情報保護ポリシー

Logo copyright Nippon Sport Science University, All rights reserved.