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バレーボール選手を対象とした夏合宿期間における運動強度とコンディショニング(大石)

はじめに

 本プロジェクトは、本学在学生アスリートを対象にコンディションを様々な指標を用いて定期的に測定し、コンディショニングの現状を客観的に把握し、コーチの主観と合わせ、試合結果の評価及び効果的なコーチング活動に資する研究成果を導き出すことを目的としています。今年度の対象としたアスリートは、陸上競技長距離選手、バレーボール選手、スピードスケート選手及び自転車競技選手です。今回のコラムでは、バレーボール選手を対象に実施した内容をご紹介します。

背景

 スポーツにおける夏合宿は、秋のシーズンに向けて個人ならびにチームの競技力向上に重要な役割を担っています。しかし、夏合宿は、暑さに加え日々のトレーニングによる疲労の蓄積によりコンディション不良を起こす危険性が非常に高いことも事実です。合宿という集団生活においては、コンディション不良を原因とする風邪などが一人でも発病すると、他の選手も疲労の蓄積によって免疫機能が低下している場合も多く、集団感染につながる危険性もあります。そのため、本調査は男子バレーボール部を対象に試合期直前の夏合宿に焦点をあて、選手のコンディショニング確認を実施しました。

方法

 対象者は本学男子バレーボール部員としました。調査は、夏合宿期間としました。測定項目は、体重・主食摂取量(ご飯の量)・トレーニング中の心拍数・ジャンプ(高さ・回数)・唾液成分(SIgA)・コンディショニングアンケート(主観的疲労度・主観的パフォーマンス・上気道感染症症状)としました。測定機器ならびに測定風景を図1に示しました。

図1. 測定機器ならびに測定風景
(左図はジャンプ測定器として用いたVERT COACHのセンサーになります。右図は心拍数測定に用いたTeam polarのセンサーを専用のシャツに装着する姿になります。)

結果ならびに今後の課題

 合宿期間中の各個人の心拍数データならびにジャンプデータは、図2に示したような専用ソフトを用いたフォーマットにて各個人へリアルタイムでフィードバックを実施しました。また、合宿後には、部員全体に対し、心拍数の個人間差やトレーニング内容別平均心拍数を用いたフィードバックを実施しました(図3)。
 本調査後に開催されました「2019年度 秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦」におきまして本学は3位という成績を残すことができました。本プロジェクトは、夏合宿期間中のコンディショニング確認を目的に実施しましたが、試合期におけるコンディショニング確認も重要であります。そのため、今回の調査結果を基に次年度には、試合期におけるコンディショニング確認を実施し、リーグ戦優勝に貢献するようなプロジェクトに発展させていきたいと考えています。

図2.合宿期間中に実施したフィードバックデータ
(左図は心拍数データ、右図はジャンプデータです。右図の横軸は時刻を示しており、縦軸はジャンプ高を示しています。プロットの総数がトレーニング時間内で実施したジャンプ回数となります。)
図3.合宿後のフィードバック風景
(左図は、トレーニング中における心拍数の個人間差を説明しています。また、右図はトレーニング内容別による平均心拍数の違いを説明しています。)
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